腫瘍外科

(1) 対象疾患

大腸疾患や炎症性腸疾患を主に対象疾患としていますが、痔核、痔瘻など良性疾患にいたるまで、大腸・肛門領域におけるあらゆる疾患の診断と治療を行っています。

大腸癌

大腸癌の中でも治療の難しい直腸癌の治療においては、欧米で広く行われている術前化学放射線療法を補助療法として1980年台から取り入れ、各種集学的治療により術後再発を低減するように努めております。それと同時に、術後の排尿、性機能障害を回避し、従来の治療では人工肛門造設が必要な症例でも、放射線によりできる限り永久人工肛門造設を回避する治療を積極的に行っております。最終的には患者さんの生活の質(QOL:Quality of life)の向上を最大限に重視した治療に努めております。また、低侵襲手術である腹腔鏡手術を結腸癌や直腸癌に対し積極的に展開しており、現在では90%以上の症例を鏡視下低侵襲手術によって行っております。さらに、平成24年7月からは、新しい技術として注目されているロボット支援下手術(da Vinci)を導入しさらなる低侵襲化に取り組んでおります。

炎症性腸疾患

当科の特徴のひとつとしてクローン病や潰瘍性大腸炎といった炎症性腸疾患の治療について長い歴史と国内有数の経験を有することが挙げられます。現在ではクローン病においても、また潰瘍性大腸炎の難治例や発癌例におけるに対する全大腸切除術においても、基本的には腹腔鏡下手術で行っています。手術症例が多いだけでなく、血球除去療法や免疫調節薬あるいは、infliximab などの分子標的薬も用いた最新の内科的治療も積極的に行っています。また、潰瘍性大腸炎に高率に発生してくる癌を早期発見するための内視鏡サーベイランスに関しては、全国的に先進的な役割を果たしています。

(2) 診療体制

スタッフおよび助教を中心とした病棟チームにより安全な手術を心がけており、外来とも密に連携を保って診療を行っております。大腸外科専門外来を月から金曜日まで毎日、予定手術を週に3日、救急手術を随時、大腸内視鏡や注腸検査を週3日行っています。それぞれの専門分野でチームを組み、治療の開始前から開始後まで患者様のケアを徹底しております。治療方針も患者さんと十分相談し、自己決定権を尊重しております。「最近お腹の調子が悪く大腸癌か不安」、「大腸癌、直腸癌の初期症状はどんなものがあるのか知りたい」、「直腸癌と診断されたが、抗癌剤を飲むか手術をするか悩んでいる」などさまざまなお悩みに丁寧に対応いたしますのでご安心ください。詳細は東大病院ホームページに記載されておりますので、ご参照ください。
http://www.h.u-tokyo.ac.jp/patient/depts/scrs_md/

(3) 先進・特殊医療

医療用ロボット(da Vinci)を使った直腸癌の肛門温存手術

東京大学腫瘍外科・血管外科では腹腔鏡を使った大腸癌や直腸癌の診断と治療(肛門温存手術やロボット手術)を行なっております。当科では豊富な経験を持った医師が、年間1,000件以上の検査と300例におよぶ大腸手術を行っています。先進・特殊医療といたしましてはロボット手術を積極的に行なっており、現在、日本全国で第二位の症例数となっております。ロボット手術により、3Dによる安定した精緻なハイビジョン画像とともに、多関節鉗子による可動制限の少ない精緻な手術が可能になってきており、排尿機能・性機能といった骨盤内自律神経機能の温存や、肛門温存に寄与する可能性が期待されております。

腹腔鏡下手術 写真
腹腔鏡下手術
da Vinci 術野 写真
da Vinci 術野
da Vinci ロボットアーム 写真
da Vinci ロボットアーム
da Vinci 手術室風景 写真
da Vinci 手術室風景(左奥が術者)

※当科で行っている臨床研究につきましては、こちらをご参照ください。