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渡邉 聡明教授 ご挨拶

 東大病院 大腸・肛門外科では大腸癌、肛門癌、大腸ポリープ、大腸ポリポーシス、潰瘍性大腸炎、クローン病、虚血性腸炎、痔核、痔瘻、など良性疾患から悪性疾患にいたるまで、大腸・肛門領域におけるあらゆる疾患の診断と治療を行っています。前身である旧第1外科は明治26年(1893年)に開講され、創立119年という日本の外科の中で最も長い歴史を誇っております。非常に伝統のある外科学教室ですが、それのみにこだわることなく、常に最新の情報、技術を取り入れ、最先端の医療の実践に努めて参りました。

 当科では、悪性疾患に対しては、根治性と安全性を最も重視して診療を行っていますが、それと同時に、近年注目されてきている生活の質(QOL:Quality of life)を保つことも大切な目標に掲げております。例えば直腸癌と診断されて手術を行う場合、手術後の合併症として排尿障害や性機能障害などが起こることが知られています。また、時には人工肛門が必要になる場合もあります。そういった際に、癌の根治性を損なわずに、排尿機能・性機能あるいは排便機能などを温存できるような治療を行うよう努力しております。そのために、最近非常に進歩している抗癌剤や放射線療法を併用して手術を行うことで、できるだけ人工肛門を避ける工夫を行うなど、各種集学的治療にも力を注いでおります。

 また、最近注目されている低侵襲手術も積極的に行っています。低侵襲手術とはできるだけ体に負担をかけない手術のことで、内視鏡カメラを用いて小さな傷で手術を行う腹腔鏡手術はその代表的な一つです。腹腔鏡手術では、従来行われてきた開腹手術のようにお腹に傷を大きく開けることなく、通常であれば数cm程度の傷で大腸切除手術が可能です。整容性に優れていることに加え、手術後の痛みが少ないことから、手術後早期に動けるなど数多くの利点があります。私たちは、こうした腹腔鏡手術を結腸癌や直腸癌に対し積極的に展開しております。さらに、平成24年7月からは、新しい技術として注目されているロボット支援下手術(da Vinci)も導入する予定です。

 良性疾患では、特に炎症性腸疾患の診断、治療に精力的に取り組んでいます。当科は外科の診療科ですが、潰瘍性大腸炎やクローン病に対しては、血球除去療法や免疫調節薬あるいは、infliximab などの分子標的薬も用いた最先端の内科的治療を実践しております。そしてこのような内科的治療でもコントロールができない場合にのみ外科治療(手術)を行っています。その際も、可能な限り、腹腔鏡手術をはじめとする低侵襲手術を念頭に治療に当たっております。手術だけではなくその後の経過観察も大事であると考え、基本的に当科にてフォローアップを行っております。これら炎症性腸疾患では長期間経過すると癌化の危険性が生じることが知られています。当科では、最新の内視鏡診断技術、遺伝子学的補助診断などを駆使し、炎症性腸疾患における癌化の早期診断、早期治療にも積極的に取り組んでいます。その他、大腸ポリープの内視鏡治療や、虚血性腸炎、下痢便秘、各種肛門疾患など必ずしも手術が必要でない疾患の診断治療も幅広く行っています。

 このように大腸・肛門外科では痔から直腸癌まで非常に広範囲の疾患を対象に診断と治療を行っています。そのなかで私たちが最も重要と考えているのは、治療方針を患者さんと相談して決定するということです。QOLの向上を考えて治療方法を決定する際にも、いろいろな選択枝があります。その中でどの治療法が最も患者さん個人個人に適しているかを患者さんと一緒に考えて診療方針を決めています。我々は、病気ではなく患者さん中心の医療を実践していくことを大事にしていきたいと考えております。